知床五湖

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知床半島の知床五湖に行ってきました。知床は北海道にある唯一の世界自然遺産であり、人気の観光地となっているため、訪れる人も多く、少し俗化しているのではないかと思っていた。しかし、さすがにヒグマやエゾシカの生活圏の中にあることで、人が容易に足を踏み入れることが出来ず、部分的に構造物はあるものの自然がそのまま残っており、まさに自然を肌に感じることができる。公共交通機関としてはJR知床斜里駅からは、バスのみだが路線バスと定期観光バスがあり、いずれも接続が良く、路線バスだけでも十分に回ることが出来る。時間的は日帰りでも宿泊でもそれぞれに合わせて、見どころを選択できる点も良いのでないかと思う。

今回、私は知床斜里駅から路線バスで回る予定だったのだが、斜里に着いた夜に「平成30年北海道胆振東部地震」(9月6日)に遭遇してしまった。北海道一帯が停電となり、知床でも信号機が機能しないとのことから、JR、路線バスともに全面運休となってしまった。
足を奪われてしまったため、レンタカーを借りようと思ったものの、なんと知床斜里駅周辺にレンタカー会社が見つからない。偶然ホテルの受付に「原田自動車工業」という会社がレンタカーもやっているというパンプレットを見つけた。しかし、電話もつながらないので、ともかく行ってみることにした。
着くと、会社は停電ながら営業していて、しかも運よく1台戻って来たところだとのこと。ガソリンスタンドも閉鎖していたので、ガソリンは車に残っている分だけとの条件ではあったが、知床を回るには十分だったので貸してもらい出発した。

午前9時20分と、当初の計画より大幅に出遅れての出発となった。ちなみに停電で信号もついていなかったが、街から知床に向かう道の入り口までに信号が2か所しかなかった。交差点では警察が出て手信号で交通整理をしていたので問題なく通過。街を抜けて知床へ向かったが、街の知床方面入り口から知床五湖までは、ウトロの市街を除くと、途中に信号が無く、あまり停電している様子を感じなかった。

40分ほど走り、10時ちょうど頃、右手にオシンコシンの滝の標識が見えた。滝の手前に、道路右側に沿って結構長い駐車場があり、ここに車を止めて徒歩で滝に向かった。
滝の入り口から、既に滝は見えるが、階段を上ってわずかな距離で滝の観覧台に着くことができる。

オシンコシンの滝

オシンコシンの滝(正面)

オシンコシンというのはアイヌ語で「そこにエゾ松の群生するところ」を意味し、流れが二本になっていることから「双美の滝」とも言われ、日本の滝100選にもなっているとの案内があった。
滝壺までは近づけないが、滝のしぶきや轟音は聞こえ、マイナスイオンを十分に浴びることができた。
なお、駐車場の止める位置によっては、駐車場からの距離の方が長いぐらい。観覧台の場所は広い場所ではなく、特に休む所もないので、滞在時間は10~15分でも十分だろう。

10時15分頃オシンコシンの滝を出発し、10分ほどでウトロの町に入った。
地図に「知床世界遺産センター」があるとのことで寄ることにした。センターと並んで「道の駅うとろシリエトク」があり、行ってみたものの停電で道の駅は営業していたが真っ暗、世界遺産センターは休館になっていて中を見ることは出来なかった。

世界遺産センターと道の駅

世界遺産センター(右)と道の駅(左)

案内によれば、知床世界遺産センターは世界遺産を目で見て学べる施設で、「館内では、知床の自然に生息するヒグマやエゾシカなどの動物の写真パネル展示やヒグマの足跡の模型など普段はなかなか見ることのできない動物たちの生態を感じることができます。知床の地形模型なども展示されているので、これから知床へ出かける前にも立ち寄って、より一層見聞を広められる施設になっています。」とのこと。

センターを少し過ぎるとウトロ市街に入る。停電で店を開けている様子もないので、取り敢えずパスして知床五湖に向かうことにした。
ウトロの町はずいぶん昔に宿泊したことがあり、過去の経験では、ウトロでは観光船に乗るのが一番だと思う。色々と観光船は出ているので時間の都合や行きたいところを考えて事前に選ぶ必要がある。また、宿泊する人や夕暮れまでいられる人はウトロの港に夕陽が沈むのは幻想的で、天気が良ければ、ぜひ狙ったらよいと思う。

ウトロを10時20分頃通過して知床五湖に向かった。
20分ほどで「知床五湖フィールドハウス」の駐車場に到着。車が少なかったせいか、思ったより早く着いた。
なお、フィルードハウスは自家発電をして通常営業を行っていた。

知床五湖フィールドハウス(右)とパークサービスセンター(左)

知床五湖フィールドハウス(右)とパークサービスセンター(左)

早速、フィールドハウスのカウンターに行き、知床五湖の地上遊歩道の利用許可をもらいに行った。
知床五湖の散策には、「一湖を見渡せる高架木道」と「五つの湖を回る地上遊歩道」があり、高架木道は無料で自由に散策できるが、地上遊歩道は時期によって入場するのに手続きが違う。5月10日~10月20日は受付と10分ほどのレクチャーが必要で、さらにヒグマの活動期の5月10日~7月31日はガイドも必要、受付もガイドも有料になっている。なお、その他の期間は、開園中は地上遊歩道も無料で自由に散策できる。
今回はレクチャーだけで、遊歩道に自由に入った(とは言っても戻ってはいけないなどルールがある)。
レクチャーの時間は受付順で一定人数にまとめて開始時間が決められ、約10分ほど、遊歩道のルート説明と主にヒグマに遭遇した時の対応などをビデオを使っての説明がある。聞くところによるとヒグマは水芭蕉の葉や根を食べるために出没するのだそう。最近も出没したと脅された?
なお、地上遊歩道を行くには、順番待ちだから季節によってはそれなりに待ち時間を考慮しておく必要がありそうだ。
ちなみに地上遊歩道は約3㎞だと言っていた。私は1時間ぐらいで歩いてしまったが、ゆっくり回ったり、混雑具合では2時間ぐらいは余裕があった方が良いと思った(センターの人は3時間と言っていた)。なお、途中ベンチもないし、食事などは厳禁なので、ひたすら歩くだけとなる。ただ、道はほぼ平坦なので足元さえ注意すれば特別に難しいコースではない。

知床五湖地図

知床五湖地図(国土地理院閲覧サービスより)

上記地図では、地上遊歩道は出発が下部中央あたりで、五湖→四湖→三湖→二湖→一湖で高架木道のコースに合流して、一湖の外周を回るようにして元に戻るコースとなる。

以下は、五湖から一湖までの眺望。

知床五湖地上遊歩道

知床五湖地上遊歩道

知床五湖(五湖)

知床五湖(五湖)

知床五湖(四湖)

知床五湖(四湖)

知床五湖(三湖)

知床五湖(三湖)

知床五湖(二湖)

知床五湖(二湖)

知床五湖 高架木道

知床五湖 高架木道

知床五湖(一湖:高架木道より)

知床五湖(一湖:高架木道より)

知床五湖(高架木道から見た山並み)

知床五湖(高架木道から見た山並み)

高架木道は一湖のみの展望ですが、開けた場所をやや高いところから見ることができ、距離も結構長く、眺望は非常によく(たぶん一番いい場所のようだ)、時間のない人や体力に問題のある人は高架遊歩道だけでも、知床の自然や山々の眺望を十分満喫するすることが出来るのではないかと思う。

知床五湖で今回の旅の目的は果たしたのだが、バス待ちなどの時間などが無かったので思ったより早く回ってしまった。もう一か所ぐらい寄れる時間が出来たので、次の行先を考えることにした。

候補としては、「カムイワッカの湯の滝」か、「知床峠」があったが、行ったことのない知床峠と、時間があれば羅臼に行ってみることにした。

なお、「カムイワッカの湯の滝」は川に温泉が流れ込んで温水になった水が岩盤上を緩い滝状に流れていて、湯の川の中を歩けるのと、滝つぼが天然の露天風呂になっている。さらに、その下流にカムイワッカの滝があり、これは海側から船でしか見えない。
なお、カムイワッカの湯の滝へは車の場合、通行制限があるので事前に調べておく必要がある。特にシャトルバスの走っている時期は車の乗り入れが禁止になったりするので要注意だ。

知床五湖から知床峠の展望台まで約30㎞、40分ほどで着いた。
結構上りもきつくカーブが連続して続く道で、慣れていないので緊張したが、天気が良ければ景色の良いドライブコースだと思う。
知床峠には道の脇に駐車場がある。車中からも展望台からも羅臼岳を眼前に美しい自然を感じることができる。
また、羅臼側の海が山の稜線の向こうに見え、その先に国後島も薄っすらと見えた。

知床峠に向かう途中で現れた羅臼岳

知床峠に向かう途中で現れた羅臼岳

知床峠展望台から望む羅臼岳

知床峠展望台から望む羅臼岳

知床峠から山並みの向こうに見える国後島

知床峠から山並みの向こうに見える国後島

せっかく知床峠まで来たので羅臼はすぐ先だろうと思い車を走らせた。
17kmほどの距離だが、羅臼の海に出るのに25分ほどかかった。知床峠までの道よりさらに傾斜もカーブもきつく、ヘアピンカーブが何か所もあるので運転には要注意だ。

羅臼は無計画で来てしまったので、とりあえず海沿いを走ってみた。
国後島が間近に見え、これが他国に実効支配されていると思うと北方領土問題は本当に身近な問題なのだということを改めて感じざるを得なかった。

羅臼港

羅臼港

羅臼港から望む国後島

羅臼港から望む国後島

なお、羅臼は国後島との間の海峡にクジラやイルカ・シャチが来るとのことで有名。観光船が出ているが、予約をしていなかったことや乗船時間が2~3時間かかるとの情報だったので、残念ながら海を見るだけで斜里に戻ることにした。

帰りは全く同じ道を通り、知床峠経由でウトロ方面へ向かった。ウトロまで距離は33㎞ほどになっていたが、1時間弱かかってしまった。
峠の途中からはウトロの岬が美しく見えた。

峠からウトロの街 遠景

峠からウトロの街 遠景

ウトロに着いて休憩がてら時間が少しあったのでウトロの港の方に入ってみた。港の先端部分にはオロンコ岩という大きな岩がある。
トンネルが掘られ、その先に三角岩があるというので、トンネルを抜けてみた。トンネルの先は観光船の発着場になっており、観光船に乗らない人は駐車できないと言われる。
トンネルに入る手前の所で左折すれば、100mぐらい先が駐車場になっていた。

オロンコ岩と三角岩

オロンコ岩(左)と三角岩(右)

駐車して、ゴジラ岩に行ってみる。街中にボッコっと立っている感じだ。見る方向で確かにゴジラに見える。

ウトロの街のゴジラ岩

ウトロの街のゴジラ岩

まだ、日は高かったが、停電が続いていたので、道が真っ暗になる前に斜里まで帰りたいと思い、早々にウトロの街を出た。

15時少し前に出て約1時間で知床斜里に着く。なんとか明るいうちに戻ることが出来た。

結局、9時から16時の約7時間のドライブだったが、季節が少し外れ、かつ、停電で公共交通が止まっており、人が少なく、食事をする店も開いていないなど、時間を浪費する場所が無かったこともあり、結構な早回りだったと思う。もし、これを参考にするのであればプラス3時間ぐらいは考えておいた方が良いと思う。

まとめ

思いがけない地震に伴う停電だったが、レンタカーを運よく借りることができ知床を回ることが出来た。予定外だったので、行先や時間配分がその場しのぎであったため、少し慌てて回ってしまった。
車ならば、知床斜里から知床五湖まで約50㎞あり、時期などによって混雑を考慮しなければならないが、運転時間は往復2時間+αぐらいなので1日でも十分に回ることが出来る。
知床峠や羅臼を含めると、ウトロ・羅臼の往復だけでも2時間ぐらいは必要。これに観光時間や食事時間を加える必要がある。
なお、今回行ってみて、知床観光という意味では、地上では知床五湖は外せないと感じた。
また、知床峠にはバスも出ているが時間があれば、行く価値がある。知床の山々を身近に感じられる。
宿泊するならウトロが旅館も多く便利も良いが、車で行くなら羅臼まで足を延ばしても宿はある。
そして、ウトロでも羅臼でも初めての訪問ならば、観光船に乗るのがおすすめだ。

 

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