ポルトガル語文法:指小辞と拡大辞

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ブラジルポルトガル語:指小辞と拡大辞
 ポルトガル語には名詞・形容詞・副詞などの語尾に指小辞・拡大辞と呼ばれる接尾辞を付けて「小さい」「大きい」という意味を持たせることができる。意味合いとしては単純に大小を意味するのではなく、小さかったり、大きかったりすることからイメージされる状態を意味することが多い。

指小辞 Diminutivo 

指小辞による意味

 指小辞はⅠ.そのものが小さい、2.親しみ、3.強調、4.軽蔑、5.特別な意味を持たない、のように区分される。それぞれは、その物が小さいというイメージから派生して意味が出来上がっている。
 指小辞は、名詞(pai 父→ paizinho お父ちゃん)・形容詞(bom 良い→ bonzinho とても良い)・副詞(pouco 少し→ pouquinho ほんの少し)・人名(Paulo パウロ→ Paulinho パウリーニョ:名前そのものとして使う場合や、あだ名で、「子供の・ちっちゃい・小」パウロのような使い方もする)

辞小辞の作り方

 最もよく使われるのが -inho(a), zinho(a) を語末に付けるものなので、この基本的な作り方について説明する。なお、辞小辞の語末は男性形はo、女性形はa となる。

1. 語末が単母音の、a、o または z で終わる場合、a, o を除いて、inho, ihna を付ける

  escola(学校)― escolinha
  casa(家)― casinha
  menino(男の子)― menininho
  rapaz(青年)― rapazinho
  feliz(幸福な)― felizinho

2.1以外で以下の条件のものには zinho, zinha を付ける

 a) 語末にアクセントのある場合(アクセント記号がある場合、ℓ、rで終わる場合)
   café(コーヒー)― cafezinho
   mulher(女性)― mulherzinha
   papel(紙)― papelziho

 b) 二重母音で終わる場合
   pai(父)― paizinho
   boa(良い)― boazinha

 c) 鼻音で終わる場合
   bom(良い)― bonzinho (※ mはnに変わる)
   mãe(母)― mãezinha
   irmão(兄第)― irmãozinho
   irmã(姉妹)― irmãzinha

辞小辞の文例

 辞小辞の使い方は、単語そのものは「小さい」というイメージから派生する意味合いだが、その文の流れの中で意味が異なって来る。よって、同じ単語でも違う意味になることがある。

Ⅰ.そのものが小さい
  ・Comprei uma casinho na praia. 私は海辺に小さな家を買いました
  ・As crianças estavam sentadas em cadeirinhas. 子供たちはちっちゃな椅子に座っていた
  ・Aceita um cafezinho? (小さいコップの)コーヒーはいかがですか?

2.親しみ
  ・Venha cá, filhinha/gatinho. おいで、かわいい娘よ/猫ちゃん
  ・Você está fazendo café? Que cheirinho bom! コーヒーを入れているの? なんて良い香り!
  ・Você é muito bonzinho. 君は本当に良い子だね

3.強調
  ・Ele mora pertinho daqui. (pertinho=bem perto) 彼はここからすぐ近くに住んでいる
  ・Fale bem baixinho! もっと静かに話して!
  ・Eu não gosto de café doce. Só um pouquinho de açucar, por favor.
   甘いコーヒーは好きじゃないです。砂糖をほんの少しにしてください

4.軽蔑(悪い意味を持つ形容詞と共に使った場合)
  ・Que filminho monótono! なんて退屈な映画なんだ
  ・Ela é bem chatinha. 彼女には本当にうんざりするわ
  ・Ele é um chefinho muito difícil. 彼はとても気難しい上司だ

5.特に意味はなく、会話で使われることが多い
  ・Ele ficou um bom tempinho lá. 彼はそこでいい時間を過ごしました
  ・Espere um minuto, por favor. Só um minutinho.  ちょっと待ってください。ほんのちょっとですから

拡大辞 Aumentativo

  辞小辞と同じように、単語に接尾辞を付けることで、「大きい」という意味を付けることができる。なお、辞小辞ほどに付け方に明確なルールはない。
 拡大辞としての接尾辞としては、-ão、-aço、-aça、-ona などが付く。
 意味は、単純に「大きい」の場合もあるが、そこから派生して、個別の意味を持つものも多い。
 以下に、元の単語と拡大辞の付いた単語の意味を記す。

1.-ãoの例
  sala(広間・居間)― salão(大広間、ラウンジ)
  papel(紙)― papelão(段ボール)
  porta(門、ドア)― portão(表門、玄関)
  casa(家)― casarão(邸宅、豪邸)
  rapaz(青年)― rapagão(大きな青年、体格の良い元気な青年)
  voz(声)― vozeirão(大声)

2.-aço、-aça の例
  rico(金持ち)― ricaço(大金持ち、資産家)
  jogada(ゲーム)― jogaço(大勝負) 
  corpo(体)― corpaço(大きくて強そうな体)
  vidro(ガラス)― vidraça(ガラス板、窓枠)

3.-alha の例
  forno(オーブン)― fornalha(大オーブン)
  mural(壁画)― muralha(防壁、大きな壁)

4.-ona の例
  mulher(女性)― mulherona または mulherão(大女)

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