北海道様似郡にある高山植物で有名なアポイ岳だが、10月初めということで、花の季節はとうに過ぎてしまっていたが、好天に恵まれたこともあって、緑深い山々、遠くに望む太平洋など、登山を十分楽むことができる山だった。標高810.6m、登山口より山頂まで約5㎞の道のりだ。今回、山頂から下山時に幌満お花畑の方に寄り道したので、往復ほぼ5時間30分ほどの行程だった(寄り道しなければ、たぶん5時間程度)。山の高さとしてはさほど高くはなく、全体的になだらかな登山コースだが5合目から馬の背まで、8合目から山頂までの間には、若干急な登りもあるが、特に難しいことはないので、だれでもチャレンジできる山と思う。
なお、紅葉の時期は10月末~11月初旬とのことで、今回は紅葉にはちょっと早かった。
登山口は「アポイ岳ジオパークビジターセンター」の裏にある。ビジターセンターの駐車場とは別に、その少し先に登山者用の駐車場がある。
駐車場から登山道へ向かうと100mほどのところに無人入林届出所があり、入山届に記入して登山開始となる。
ここからしばらく登り、右折して橋を渡ると木々に覆われた山道に入っていく。
最近の山は5合目ぐらいまでは車で行けたり、ロープウエイがあったりするが、ここは海抜100mから登り始めるので、1合目から頂上まですべてを徒歩で登ることになる。5合目までは、なだらかな山道が続く。
1合目
2合目
3合目
5合目までは随所に熊よけの鐘が設置されているので安心だ。かなり大きな音が響き渡る。
4合目
この辺りからやや勾配が急になって来る。木もダケカンバなどが多くなってうっそうとした感じがしてくる。
5合目
急に前が開ける。道の先には5合目山小屋がある。5合目までちょうど1時間だった。
5合目は標高382m、この辺りがアポイ岳の森林限界となっているとのこと。高い木が無くなり周りを見渡すことが出来るようになった。
登山という意味では、5合目辺りからやや本格的になって来る。これまでの土の多い登山道から、石や岩の続く上り坂となっている。
しばらく登って、5合目の山小屋を見下ろす。急ではないが、それなりの勾配が続いている。
5合目から6合目までの間で見かけた花。種類は少ないが所々に可愛い花をさかせていた。
6合目
ほぼ一定の勾配で上り坂が続く。この辺りから様似方面の海が見えて来る。周りの景色は10月最初だったのでまだ紅葉は進んでいない。
太平洋が眼前に広がる。
木々はまだ緑だが、ツタウルシが紅葉して彩を添えている。
7合目
ここに登るところまでは若干きついが、少し過ぎれば馬の背というなだらかな稜線まではもう少しだ。
登って来た山道を振り返る。5合目からは概してこのような道を登ってくることになる。
7合目を過ぎてしばらくすると、少し下がったところに一直線に水平に道が続いている。馬の背と言われているところだ。標高600mの稜線を歩いて行くことになる。この延長線上にアポイ岳の山頂が見える。また、この登山道沿いは「馬の背お花畑」と言って、季節にはアポイ岳にしかみられない固有種も含めた多くの高山植物を見ることが出来るとある。花の多い季節ではないが、何か咲いていないかと探しなら登るのは楽しい。
馬の背から望む景観、山々が美しいのと、わずかながら色づいた木々が見える。
花を探しながら歩いたが、やはり季節を過ぎてしまっていてなかなか見つけられない。その中で出会った花が2つあった。
8合目の少し前にトラバース分岐という場所がある。ここを右に進めば旧幌満お花畑方面経由で山頂に、左は山頂へ向かう道だ。まずは山頂へ向かう。
8合目
ここから山頂まで再び上り坂が続く。時間にしてあと25分ほどだ。お花畑も終わって後はひたすら登るだけ。
9合目
どういうわけかここには木の案内板は無く、岩に九合目と書かれていた。
山頂
山頂に到着。標高810.6m。登山口から2時間35分の行程であった。5合目までが1時間、5合目から山頂が1時間35分という結果だった。
山頂はダケカンバに覆われていて、眺望を楽しむことが出来ないのは残念だ。
下山は、時間もあったので、旧幌満お花畑の方から降りてみることにした。
今回は季節も外れているので見ることは出来なかったが、5合目から一帯がヒダカソウの生育地となっているようだ。
幌満お花畑方面の登山道は岩がなく、ほぼ土道となっている。勾配は急ではないがお花畑まで下り坂になっている。道はあまり人が通らないのか細い。
登山道の周りはダケカンバの林が続いていた。
しばらく進むと視界が開けてきて周りの山々が見えてきた。
馬の背も見える。
道はハイマツが押し寄せてきて隠れてしまっている。ハイマツの隙間を縫うように歩くことになる。
所々に、スゲだろうか大きな塊のような草が生えている。湿地の谷地坊主にも似て見える。さしずめ山坊主といったところだろうか。
旧幌満お花畑
8合目の所には「旧」となっていたが、どうやら、ここがヒダカソウの群生地であったのが、盗掘やハイマツの進入でほとんど見られなくなってしまったために、元はお花畑だったということで、そう呼んでいるらしい。
今はお花畑とは呼べない場所のようだが、山頂からここまでで出会った花は残念ながら、つぎのひとつだけだった。
さて、このお花畑から8合目に戻るのだが、この先の登山道は、ほぼ等高線に沿って進むようになる。よって、ほとんど高低差は無い。登山道は広葉樹に覆われておりうっそうとしていて、眺望は無い。
木々はまだ青々としている中、カエデが赤く色づいていた。
林の中は主にダケカンバが茂っている。歩く人が少ないのか道が分かりにくくなっているところがあるのと、途中数か所に落石注意の表示があった。上を見ると大きな岩が顔を覗かせている。足早に先に進む。なお、この区間の山道は上り下りがない分、距離が長い。
山頂から8合目のトラバース分岐までの間は、登りの時は直線だったので25分で登ったが、お花畑を通るコースは結局1時間かかってしまった。
8合目からは来た道を引き返す。8合目から5合目が45分、5合目から登山口までが1時間5分だった。よって、下山合計2時間50分と登り2時間35分より余計にかかってしまった。幌満お花畑に寄らなければ、2時間15分ぐらいだろうか。
山を下りていく際、2合目と1合目の間でエゾシカに遭遇。そのほかにも大型の変わった鳥も見かけたが何かは不明、自然いっぱいの山だ。
アポイ岳は、高さも難易度もそう厳しい山ではないが、いくつか急な勾配があるのと、結構距離がある(往復約10㎞)ので、健脚向きではあるだろう。靴は必ずしも登山靴でなくても登れるが、季節を外れると人に会うことも少なくなってくるので、服装や食料などはそれなりの準備が必要だと思った。
そして、登山だけでなく、花や紅葉の時期を調べて訪ねるのが楽しそうだ。今回は花の時期を逃してしまったが、ぜひ次は花の時期を狙って登ってみたい。
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