天人峡:羽衣の滝、敷島の滝

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10月の初めに北海道上川郡東川町にある天人峡に行って来た。昔、訪れた羽衣の滝と上川地区が既に紅葉が始まっているのではないかという期待からだ。紅葉は若干早めではあったが、色づき始めてはいた。温泉街にしては少し寂しい様子だが、訪れている人は結構多く、天人峡の景観と羽衣の滝の人気は今でも高いのだろうことを感じた。羽衣の滝は滝下の展望台があるが、向かい側の山の頂上付近に滝見台という場所があり、羽衣の滝の全容や、旭岳などを眺望できる。羽衣の滝の先に敷島の滝があるが、がけ崩れで立ち入り禁止と前情報があったが、現在は特に制限はないようだ。ただ、沢を渡らなければならなかったので直前まで行ったが断念した。

天人峡地図(国土地理院地図閲覧サービスより)

天人峡地図(国土地理院地図閲覧サービスより)

2013年に土砂崩れが発生し、羽衣の滝の展望台へ行くことが出来なくなり、客足は急速に減少したと聞いている。現在は2018年6月に通行可能になり問題なく行けるものの、5年間ほどのブランクが大きかったのか、温泉街のホテルのほとんどは閉鎖または改築となっていた。唯一しきしま荘という旅館は営業していたが、宿を取るのは結構大変なので旅行計画を良く考えて行く必要があると感じた。

天人峡温泉街

天人峡温泉街(ここに写っている旅館は現在営業していない)

天人峡に着いて、まずは羽衣の滝を川を挟んで反対側にある山から眺望できる滝見台に向かった。
上の写真でいうと、手前の橋が天人峡トンネルを出たところのすぐに左にかかる橋で、トンネルを出て橋を渡らずに、すぐ左の駐車場に車を止めた。そこから100m弱登ったところの右側に「トムラウシ登山道入り口」とある。ここから山道を登ることになる。起点の標高が600m、滝見台が919mなので高低差300mほどの登りだ。標高850mぐらいまでは急勾配のため、山道は三十三曲がりというつづら折りの道となっており、思ったよりハードだ。道は整備されているが、所々に倒木がそのままになっていて歩きにくい所もある。なお、標高850mを過ぎるとその後は、距離で500mぐらいの平坦な道になる。

山道の中間点あたりで、羽衣の滝が木々の間から見える所がある。この箇所の方が、羽衣の滝の右側から落ちる滝をよく見ることが出来た。

滝見台中腹から羽衣の滝

滝見台中腹から羽衣の滝

平坦な道に入ると針葉樹林帯となっているが、その中にカエデ、ナナカマド、ダケカンバなどの広葉樹が混じり、紅葉が始まっていた。ここまでの山登りとは一転して癒される場所だ。

滝見台へ向かう道の紅葉

滝見台へ向かう道の紅葉

頂上付近に滝見台という展望台がある。正面に羽衣の滝の全容が見える。落差270mで7段の滝となっており、上流の二つの沢で出来た滝が途中で合流しているという。右側から流れ落ちている滝はこの地点では少し見えにくい。
しかし、北海道一の落差の滝であることと、その流れが何段にも分かれ、衣の様に広がりながら落ちる姿は美しい。そして、周りの断崖とそこにへばりつく様に生えている木々の色と相まって、まさに絶景と言うに値する滝だと思う。

滝見台からの羽衣の滝

滝見台からの羽衣の滝

滝から右に目を転ずると、崖の向こうに旭岳の雄姿が見える。

滝見台から旭岳を望む

滝見台から旭岳を望む

滝周辺の断崖はまさに絶壁状で、層雲峡の断崖の景観にも劣らない。

滝見台から見える岩壁

滝見台から見える岩壁

滝見台を降りて、滝の下に当たる展望台に向かう。

温泉街から、展望台へ向かう遊歩道に入る手前に、そこから見える岩の名と説明がある。
この地域には天女伝説があり、「昔、弓人という名の青年がいて、天女が山賊に羽衣を奪われてしまたが、それを知った弓人が羽衣を取り返してあげた。そのことで、天女は無事天に戻ることができた」という内容のようだが、その時の天女が羽衣を広げて天に上る姿が「あまつ岩」とのことだ。
下の写真では、建物の上部に、一段高く飛び出した岩のことのようだ。

あまつ岩

あまつ岩

そして、「涙岩」は天女が羽衣を奪われて泣いているその涙が岩に流れているということだ。一枚岩でパッと見にはコンクリートの防護壁かと思ってしまいそうだ。

涙岩

涙岩

「見返り岩」は天女が天に戻るときに、弓人に別れを告げ、この岩を振り返りながら天に戻ったということだそうだ。下の写真では一番左の端にある尖った岩を言うとのことだ。

見返り岩

見返り岩

遊歩道から見える渓谷は、忠別川。渓谷を見ながらの散策は気分がいい。

羽衣の滝に向かう途中の峡谷

羽衣の滝に向かう途中の峡谷

川の脇から温泉が湧いているのか蒸気が上がっていた。道は平たんな砂利道だ。

羽衣の滝に向かう道

羽衣の滝に向かう道

羽衣の滝の下の展望台からの滝の景観。昔は河原をもっと奥まで行けたような気がするが、今は柵があって入れない。やはり、間近で見ると迫力がある。

羽衣の滝

羽衣の滝

天人峡では、羽衣の滝と敷島の滝が有名だが、敷島の滝には行けないという前情報があったのであきらめていたが、どこにも行けないとは書いてない。しかも立ち入り禁止の看板も出ていないので、行ってみることにした。敷島の滝への入り口は羽衣の滝の展望台の奥に登り口がある。ただし、何の表示も無かった。下の写真の看板のあたり。

敷島の滝に向かう道の入口

敷島の滝に向かう道の入口

少し登ると、左に鳥居が見えてくる。天人峡三吉神社となっていた。登ると神殿があるが、そこから羽衣の滝は見えない。

敷島の滝に向かう途中の天人峡三吉神社

敷島の滝に向かう途中の天人峡三吉神社

そのまま進むと吊り橋が現れる。対岸に渡ってさらに上流へ向かって林の中を進んで行く。

敷島の滝の途中にある吊り橋

敷島の滝の途中にある吊り橋

途中で林の中の道が切れて、川に降りる道が付いていた。多分、道が切れていたのではなく人があまり通らないので草に隠れていたのだろうと後で思った。
川へ降りると赤いテープが先にもくくられていたので、そのまま進めば付けたのだろうが、川を渡る準備をしていなかったのと、結構水量が多かったので危険と思い、残念ながら断念した。
写真では、手前の細い流れを横切れば良いのだが、意外と急な流れだった。こんなところで土座衛門になったらいつ見つけてもらえるか分からない。

敷島の滝に向かう川道

敷島の滝に向かう川道

ということで、悔しいのでむかし撮った写真を引っ張り出してみた。
1974年に撮った年代物だ。
敷島の滝は落差20mほどだが、横幅が50mほどありけっこう迫力のある滝だったという記憶がある。

敷島の滝

敷島の滝

天人峡は、これまでにも何度か訪れたいと思っていたが、土砂崩れの影響や台風で孤立したなどの話があって遠のいていた。今回、近くまで行く計画を立てたのと、羽衣の滝への道も復旧したと聞き、思い切って出かけてみた。そして想像した通りの絶景を見ることが出来た。
唯一残念なのは宿泊施設が限られてしまっていることで、かっての温泉街の賑わいが無いことだろうか。

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