北海道河東郡鹿追町にある然別湖は大雪山国立公園で唯一の自然湖で標高810mにあるという。北海道で一番高い所にある湖ということもあるのか、本当に山深い中の静かな湖であることを感じる。然別湖ネイチャーセンターの前の湖畔で湖を見渡すことが出来る。たぶん全景を見られるのは地上ではこの場所だけだろう。この後、糠平湖に向かう道道85号線が湖畔沿いに通っているので途中で然別湖を別の角度で見られるのではないかと安易に期待して行ったが、実は、湖側は木に覆われていて、隙間から垣間見るだけで開けたところはなかった。よって、湖を俯瞰したければ白雲山や展望山という湖に隣接する山に登るか、隅々まで見たいのであれば、遊覧船に乗った方が良かったかもしれない。
然別湖は自然の湖という先入観があったかもしれないが、奥深い神秘的な雰囲気がする。水も澄んできれいで、水の青と山々のやや色づいた緑が調和している。そして他の湖と違う所は立ち枯れた木が無いことで、3万年の昔に噴火によって堰き止められて以来、その水位が保たれた結果だろう。
然別湖は帯広駅から60㎞ぐらいのところで、バスの便もある。(1日4便、片道1時間40分ほど)
私は車で美瑛の方から回ったのだが、途中、狩勝峠で濃霧に捕まってしまった。狩勝峠での十勝の展望を期待していたのだが、残念ながら見ることは出来なかった。
道道85号線に入るとほとんど車が通っていない。ほぼ真っ直ぐな道が続く。ほとんど林の中だが、途中に開けたところがあり、よく写真で見る防風林のある牧草地があった。これが十勝の景色かちょっと感動。
然別湖に向かう道は、どこまでも真っ直ぐだ。
然別湖の5㎞ほど手前になる辺りに扇ケ原展望台という場所があり、駐車場も整備されていた。ここからは十勝平野、日高山脈、さらに太平洋まで見渡すことが出来る場所のようだ。狩勝峠で出会った霧がやや薄れていたものの、まだ晴れていない。残念ながらここでも十勝の絶景は見られなかった。
扇ケ原展望台から約2㎞ほどだろうか、周りの木々の植生が変わって来た。白い色が目立ち始めてきた。白樺の林だ。後でこの場所が白樺峠だということを知った。白い幹の白樺が林立し山頂まで覆っているのは見事だ。葉も色づき始めていた。なお、特別な標識は見当たらなかったし、駐車場も特にない。ただ路肩が広く取られているので駐車には問題は無かった。
然別湖に到着。駐車場には観光バスが何台か停まっていて、思いの外にぎやかだった。ただ、その人たちが遊覧船に乗って行ってしまうと、急に静けさが戻って来る。湖の周りは柵で囲われていて、水辺までは降りられないが、どうやらこの辺りが然別湖の全容を地上から見られる唯一の場所のようだ。
10月初めだったので、まだ紅葉には少し早かったが、それでも神秘的に映る然別湖は格別の感がある。
湖左岸には遊覧船の発着場がある。
湖の中央部には天気が良ければ大雪山系も見ることが出来るようだが、生憎の霧で見えない。ただ、然別湖を囲む山々が山中の湖の雰囲気を醸し出してくれていた。
岸部近くの木々はわずかに紅葉を始めていた。
路線バスも走っているので、思ったより行きやすい場所だった。注意点は湖を展望する場所が限られていることぐらいだろうか。他に楽しむには遊覧船や白雲山・展望山という山が近くにあるので、これらの場所から然別湖も見るのもいいかもしれない。
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