糠平湖

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北海道河東郡上士幌町にある糠平湖(ぬかぴらこ)は1955年に糠平ダムの建設によって出来た人工湖とある。湖を一望できる場所はほとんどなく、どちらかというと廃線となった旧国鉄の橋梁を巡るような行程となった。この周辺の橋梁としては8つほどあるようだが、糠平湖に面しているのは3つで、その3つ、タウシュベツ川橋梁、五の沢橋梁、三の沢橋梁を訪ねてみた。

糠平湖は然別湖の北に位置し、然別湖から道道85号線で距離としては25㎞ほどある。一時期通行止めになっていたが、2019年4月末に開通したので行ってみた。然別湖から少し細い道が続くが、そこを抜けると快適な道路だ。ただ、山道なので結構急カーブが多い。然別湖と糠平湖の間はほとんど車は通っていなかったが、糠平湖に沿って走る国道273号線は帯広と旭川を結ぶ路線の一部であることからだろう結構交通量はあった。

糠平湖地図(国土地理院地図閲覧サービスより)

糠平湖地図(国土地理院地図閲覧サービスより)

まず、糠平湖の北側にあるタウシュベツ橋梁へ行った。展望台の入口付近には国道上の路肩に何台か車の停まれるところがある。そこから200mほど林の中を進むと、ちょっとした広場になっていた。
広場の大きさの割に湖を覗けるところが極端に狭い。

タウシュベツ橋梁展望台

タウシュベツ橋梁展望台

展望台の隙間の正面に橋梁が見える。なお、見えるのは橋とその周りのみで、湖全体を見渡すことは出来ない。この橋は旧国鉄の士幌線のコンクリートアーチ橋梁で、橋はタウシュベツ川にかかっていた。その川は展望台の対岸にあるため、展望台からは少し離れた所にある。湖に沈むことで有名だが、例年6月頃に沈み始め10月頃は完全に水没し、1月頃に再び現れるそうだ。今回は10月だったが、かろうじて完全水没はしていなかった。

タウシュベツ橋梁

タウシュベツ橋梁

この展望台と入口の間に、この展望台の少し北側から湖に沿うように自然歩道が出来ている。一部は昔の線路の跡のようだが、4~5㎞ぐらい林の中を散策できるようだ。両側から木々が覆うような道を少し歩いてみたが気持ちのいいものだ。国道が近くを走っているがその喧騒はない。

自然歩道

自然歩道

次に、五の沢橋梁へ向かう。タウシュベツ橋梁からは1.6㎞ほど南にある。湖側の道路に駐車スペースがある。橋梁への入口が明確ではないが、1カ所だけ人の通った跡のありそうな細い道があった。入っていくと先ほどの線路の跡と思われる自然歩道にぶつかる。その先に五ノ沢橋梁の看板があったが、どこか分からない。線路があれば下が透けて見えるが、人が通れるようにしたので、下が何か分からい。

五ノ沢橋梁の地上部

五ノ沢橋梁の地上部

そのまま行くと下に川があって納得した。ただ、橋そのものは上からは見えない。そこで、橋の脇から降りてみると、小さなアーチ橋が現れた。1955年完成とあるからダムを作るときに復元したようだ。

五ノ沢橋梁

五ノ沢橋梁

五の沢橋梁の場所は湖から少し離れているので、沢から湖を見ることは出来ないし、その道もなさそうだ。湖までは行けなかったが、奥深い沢のせせらぎを感じることは出来た。

五の沢川

五の沢川

次に三の沢橋梁へ行く。五の沢橋梁からは2.2㎞ほど南にある。結構大きな駐車場が用意されている。橋梁までの道は舗装されていて橋には欄干がついている。地上から見ると鉄道用の橋というより普通に人の通る橋に見える。

三の沢橋梁の地上部

三の沢橋梁の地上部

橋の少し先に沢に降りる階段が付いていたので降りてみた。降りて改めてみると全く雰囲気が違う。やっと鉄道橋梁らしい姿を見ることが出来た。ここも1955年完成とあるのでダムを作るときに復元したようだ。

三の沢橋梁

三の沢橋梁

ここは湖まで近いので、沢の河口部まで行くことが出来る。やっと開けた場所で糠平湖を見ることが出来た。ただ少し霧が出ていたので対岸や周りの山々を見ることはできなかった。

三の沢河口付近

三の沢河口付近

三の沢河口から左岸

三の沢河口から左岸

三の沢河口から右岸

三の沢河口から右岸

3つの橋を訪ねてみたが、橋を見るのが主になってしまったので、どこかで周りの山々を含めて全景が見えることのできる場所がないかと探したところ、糠平湖展望台という場所があったので行ってみた。
国道273号線を帯広方面に向かっていくと、途中に糠平湖展望台0.5㎞という表示がある。道路右側(山側)に道がある。そこから入るとあとは1本道で林道のような中を走り、終着点が糠平ダムになっていた。どうやらここが展望台のようだ。糠平湖は南北に長い湖で、このダムは南側に位置するので、南北を一望する場所は無いのだろう。
場所が少しわかりにくいのか、この場所も人が訪れておらずひっそりした雰囲気のところだった。

これが糠平湖を造ったダムだ。この場所から先は立ち入り禁止になっていてダムの下流側を見ることは出来なかった。

糠平ダム

糠平ダム

霧で先が見えないが、湖を縦方向に見渡すことが出来る唯一の場所ではないかと思う。

糠平湖展望台からの景観

糠平湖展望台からの景観

湖は人造湖であり、そこで見られるのは人の手で作られた鉄道の廃線跡や橋梁ではあるが、改めて人の営みの栄枯盛衰を思わせる。静かなたたずまいがさらにその思いを募らせるところではないかと感じた。

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