6月末に北海道は花の礼文島に行ってきました。今回は2度目の訪問でしたが、前回チャレンジできなかった8時間コースを歩いてみることにしました。礼文島ではいくつかあるコースの中で最長であり結構ハードなコースですが、達成感を含め感慨深のいものがありました。ほとんど交通機関が無いので歩く自信がない人は、船泊~西海岸の一部でも広大な自然を感じることができると思います。
全体の地図とルートの紹介は、礼文島観光協会の「礼文島トレイルマップ」が分かりやすいです。
朝、船泊の宿の食事前にスコトン岬に向かって行けるところまで行ってみようと歩いてみました。残念ながらスコトン岬まではあと2㎞ぐらいのところで断念しましたが、途中の海岸線は静かで趣のある散策でした。船泊の浜でも穴あき貝を拾えるようです。
近くには久種湖があります。ここはキャンプ地があり、水芭蕉の群生地もあるようです。
前日、島に渡り、船泊に宿泊、宿を朝7時45分に出発。朝から小雨が降る生憎の天気でした。船泊からスコトン岬に向かう途中で8時間コースに入る標識があり、自動車の通れる舗装道路が続いています。
10分ほどで礼文アツモリソウの群落地がありましたが、残念ながら咲き終わっていました。見たい人は5月下旬~6月中旬がシーズンですが、船泊の礼文町高山植物園に行けば5月初旬~8月中旬の間は温度管理されて咲いているものを見ることができるようです。
礼文アツモリソウの群生地からさらに10分ほどで、左手に牧場の入り口のような柵があり、そこが8時間コースの入り口(西上泊分岐)でしたが、看板はちょっと見落としそうです。
前にも後ろにも人影がなく、延々と続く道を見たときは、さすが礼文の広大なお花畑の予感がすると同時に、若干、心細くなりました。進むにつれ、細い道の左右には花が少しずつ迎えてくれます。若干のアップダウンはありますが、歩くには楽な道が続きます。
途中で見つけた花々を紹介します。
草原を歩いているの間の景色はこんな感じです。
コース入り口から2時間ほど進むと、これまでの草原の中を行く雰囲気から林の中に入るようになり、ややアップダウンも大きくなり、沢が現れたりするなど軽い山歩きを感じながら歩けます。
途中、レブンウスユキソウを見つけました。群生地ではないところで見つけたので感動的でした。ミヤマオダマキや名前を探し当てられなかった花も含め、次々と現れます。
出発から3時間ぐらいしたとこで、急に、ザレ場のようなところに出ました。えっ、先が無いぞ、どこに向かうんだ!
人の通った跡が分からなくなっていましたが、先端付近に行く途中に8時間コースと書いた案内がありました。見ると道の左側に急な崖があり、ここを降りろということのようです。
結構急です。足場も悪く、途中にロープが張ってあり、伝って降りないと危険です。非常に急な岩場で、礼文島にこんな荒々しいところがあるのだと思いました。こんなところにも可憐な花が咲いていました。
高低差は50mぐらいでしょうか、方向としては間違えないのだろうと降りましたが、途中で道が草に覆われてはっきりせず、実際行き過ぎてしまいました。先が急な崖で進めないと判断し、若干、戻ってなんとか下まで降りました。降りたところが沢になっており、橋などはないので沢沿いに降りると礼文の西海岸(アナマ)でした。
海岸に降りると、左側が崖になっており、陸上の視界が開けておらず、目標が見えません。標識や案内の類も全くありません。海岸部分に入るところで一か所、ペンキで矢印だけが岩に書かれていただけでした。
ここからは全く道がありません。大きな岩がゴロゴロしており、岩をひとつずつ上り下りして進みます。
海岸の一部は砂浜のような部分もありますが、ほとんど岩場で、天気が悪かったせいもあって、波が高く浜側には近づけず、岩の多いところを歩くしかありませんでした。地図上では間違えないだろうと確信はして進みましたが、先が見えないのと人気もないので、ここで遭難したら・・・と不安もあり慎重に進みます。岩は滑りやすく、間が開いているので上り下りしなければならず、なかなか先に進みません。2kmもない距離を1時間半もかかってしまいました。
そんな中いくつかの花に出会いました。
このコースで最大の難所はこの海岸に降りる崖と、西海岸を沿って進む部分でしょう。ちなみに西海岸辺りは携帯がつながらないので要注意です。
しばらく進み、はるか先に堤防のようなものが見えたときには、さすがにほっとしました。そこは小さな港のようで宇遠内(ウエンナイ)というところでした。
ちなみに、ここに着く少し前に滝がありました。雨が降っていたので、にわかに出来た滝なのか、いつもあるのかは分かりません。滝つぼから海へつながるような流れがありませんでしたが、この後、時間的に礼文滝には寄れそうもなかったので、この滝で我慢することにしました。
宇遠内にはトイレや休憩所があり、ここでやっと人の姿を見ることが出来ました。ここからは直角に礼文島の中央にも向って登り坂になります。それほど急でもなく、土の道なので、雨でややぬかるんでいる以外は歩きやすいです。
宇遠内周辺で見かけた花々です。
途中までは開けた坂道ですが、その後は林の中に入ります。この辺りは、前半に歩いたところとは植生が変わっており、これぞ北海道と言うような感じよりは普通の山道を歩く感じです。
1時間ほどで、宇遠内分岐点に出ましたが、ここが8時間コースの終点のようです。
この先は林道コースという名に変わるようです。なお、その案内には8時間コースの入り口のように見えますが、脇の小さな看板には8時間コースを行く人はスコトン岬側から入って下さいと言うことが書いてありました。多分、先ほどの西海岸~崖登りのところが、こちら側から行くと迷う可能性は大だと思います。こちら側から入るときは、案内できる人がいないと危険かもしれません。
さて、終点と言っても山のど真ん中ですので、どこかに出なければなりません。私は香深港に向かうため、林道コースを南に向かいました。反対に向かうと香深井という所に出るようです。
林道コースと言うから林の中を行くのかと思いましたが、舗装されていない車の通れるような道で、両側が林の部分もありますが、藪の中のようなところが多く、視界が開けていないので、このコースだけを通るのはあまりお勧めではないかもしれません。
ただ、この林道コースは、香深港から登ってくると、レブンウスユキソウの群生地や礼文滝などがあります。
さて、宇遠内分岐点から霧深い中、1時間強でレブンウスユキソウの群生地に出ました。群生地には保護のためロープが張られ狭い道沿いに100m強ぐらいの間に群生を見ることが出来ます。この花は群生地以外では8時間コースの1か所でしか見つけられませんでしたので、なかなか希少な花なのでしょう。いわゆるエーデルワイスという高山植物として有名で可憐な花です。6月から7月に咲いています。
ここまでで、宿を出てからちょうど6時間かかりました。
ここから後は、舗装されていない車の通れる道路に沿ってひたすら港に向かって歩いていきます。途中で舗装道路になりますが、群生地から約1時間半で香深港に到着、15時少し過ぎていたので、宿を出てから約7時間半のコースでした。
8時間コースは今回行ってみて、若い人にはともかく、中高年には少しハードだと思いました。万歩計の記録では7時間、41㎞、5万歩でした。さすがに花の島で感動的出会いもありましたが、西海岸に出るところ、海岸沿いはかなり危険だという気がします。平日でしかも雨だったからかもしれませんが、ほとんど人に会うことはなく、船泊~西海岸までは途中で1組の夫婦に会っただけでした。宇遠内からあとはグループで海岸に降りて来る人たちもいましたが、それでも少し不安を感じる場面はありました。道順は地図をもっていればそれほど難しくはありませんが、案内看板に地図が載っていても現在位置が記されておらず、少し不親切なところもありました。8時間コースには携帯のつながらない区間が結構長くあるのでこの点は要注意です。
しかし、十分に礼文島を満喫することが出来ました。今度は桃岩や礼文滝、地蔵岩などにチャレンジしようと思います。
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