夕張市 石炭博物館

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北海道夕張市にある石炭博物館は炭鉱の歴史と、その作業の様子や設備など展示している。2019年4月に摸擬坑道で火災があり閉鎖されていたが、同年6月には摸擬坑道を除き見学できるようになったということで訪問した。
夕張市は地形から見ると、周りを山岳地帯に囲まれており、夕張川水系に刻まれた渓谷にへばりつくようにできた町だ。産業の伸びる余地は多いとは思えず、炭鉱が無ければこの町があったのだろうかと思わざるを得ない。財政再生団体になって久しいが、2019年3月末でJR夕張線が廃線になり、人口も8千人を割るなど厳しい状況の続いている町だ。

夕張地図(国土地理院地図閲覧サービスより

夕張地図(国土地理院地図閲覧サービスより

石炭博物館に行く前に、廃線になった夕張駅を訪ねてみた。駅舎やホームはそのまま残されているが、駅の前の大きなホテルとの対比が栄枯盛衰を物語るような光景であった。

夕張駅からは約3㎞ほど北に石炭博物館がある。石炭の歴史村公園の一番奥になる。外観は立派な建物で炭鉱というイメージからはずいぶん近代的に見える。行ったときは火災があったとか、摸擬坑道に入れないという理由からだろうか、ほとんど人が訪れていなかった。

博物館の中も立派だ。大きなスペースをゆったりと使っている。本館1階は受付とロビーになっている。催し物のできる多目的のホールもある。なお、この博物館にはこの本館1階にしかトイレがないというのは要注意だ。一応、受付で説明があったが、他には館内にも館外にもない(館外は建物はあるが閉鎖されていた)。

本館2階から展示が始まる。夕張炭鉱を中心に各地の炭鉱も含め、その概要や歴史を動画、写真、文字を駆使して紹介している。

夕張炭鉱は1888年に石炭の大露頭が発見されたことに始まる。すでに130年以上も前のことだ。1990年にすべて閉山されるまで100年ほどの歴史の炭鉱だ。私の記憶の中には、炭鉱とは劣悪な環境と重労働、粉塵爆発事故やストライキのイメージが強い。今回の訪問でそれを払拭することは出来なかった。

本館2階から地下展示場へ、エレベータで降りていく。ずいぶん深いところまで潜った気がするが、出口との高低差を見ると10mも無いような気がする。雰囲気だけだったのかもしれない。

地下展示場は、初期から近代までの炭鉱での作業の様子をマネキンを使って再現しており、かつ、使われていた工具や機器が所狭しと並べられていた。
マネキンは結構精巧に出来ていて、体の露出部分が少ないこともあって本物のようであり、1人で入っていくと若干不気味だが、その分実際の姿が表現されているのかもしれない。

下の写真は、最初の1枚は最初に入った所。一本の坑道の両脇に時代を追って順次、炭鉱の労働を再現している。

地下展示1

地下展示1

これらの写真以外にも、様々な道具や機械が並べられており、炭鉱の作業の様子や苦労の跡が見て取ることが出来る。

残念ながら、現在のところこの先の摸擬坑道に入ることは出来ず。ここで終わりになる。

ここで外に出ると、駐車場の前に現れた。元の本館には戻らずに終わりとなる。

なお、この後、シューパロ湖に向かったが、その途中に「三菱大夕張鉄道車両保存地」という所があった。この石炭博物館近くの炭鉱は北海道炭鉱鉄道会社の開発、シューパロ湖に近い炭鉱は三菱鉱業が開発したそうで、その輸送用の鉄道の名残だ。展示されていたのは当時のラッセル車と客車のようだ。

三菱大夕張鉄道車両保存地

三菱大夕張鉄道車両保存地

石炭博物館は石炭産業が終焉を迎えるに当たり次を観光事業と見据えリゾート開発と共に建てられたものであり、その思い入れの名残りの場所のように感じた。肝心な摸擬坑道に入れないという残念さは残るが、展示内容は充実しており、日本の産業を担った炭鉱事業の歴史を残すものとしては唯一のものであるようだから、多くの人が立ち寄って応援できたらという気持ちが募った。

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