徳島県の徳島と阿波池田方面をつないで四国内陸を走るJR徳島線の中ほどにある穴吹駅の北側に「土柱」はある。アメリカロッキー、イタリアチロルにある土柱に並ぶ世界三大土柱という景勝地だ。100万年前の吉野川の扇状台地が風雨に晒されて現在の姿になったとのこと。
土柱として観察できるよう整備されているのは波濤嶽(はとうがだけ)という場所で、それ以外にも近隣に5つの土柱の崖があるそうだ。なお、ここ波濤嶽は高さ13m、南北90m、東西50mの規模で、天然記念物になっている。
土柱は下からだけではなく、側面・上面からも見ることができる。下側の展望台からは土柱全体を見上げるように全体を見渡すことができる。上部が台地になっており、その先端部が崖となっていて、そこに柱のように土が取り残されている姿が良く分かる。
パノラマ写真を撮ってみた。この崖の範囲が波濤嶽と命名された場所で、上の方は平坦に見える。崖の右側に登り口があり、側面からの景観を見ながら頂上まで登ることができる。
一番下から見た土柱の中央部は、手前部分に崩れた砂礫等が流れ落ちて来ている様子が見える。結構な砂礫が堆積しており、今でも浸食が進んでいることを物語っているのだろう。
どのぐらい変化があったのか気になったので、大昔に(40年以上前)行ったときの写真を並べてみた。同じ場所から撮ったわけではないので、判然としない所もあるが、やはり形状は少し変わっているような気がする。特に手前は崩れてなくなってしまっているようにも見える。
自然の造形だから当然なのだろうが、ゆっくりながら日々その形を変えているということが分かる。
土柱の側面を登ることができるようになっている。ここから見ると、地層がはっきりと分かる。土柱の先端部に石の層が残っており、このおかげで土柱ができたことが分かる。
土柱の上から見下ろすことができる。意外にも柵などがないため崖の先端まで行くことができる、垂直に落ち込んでおり、ちょっとスリルがある。ここからは土柱の最上部の姿が分かる。
拡大して見てみると土柱の最上部に石などが乗っている様子が分かる、これらの堅い部分が下の土の層を風雨の浸食から守ってきたということになるが、特に大きな岩が乗っているということではない。よって、堆積した地層が皆同じようなら、なぜこの部分だけが残ったのか、それは奇跡的なバランスなのかもしれない。
土柱自体はそう広い場所ではないので、比較的楽に下から上まで行くことができる。やや地味な場所だが、よく見れば結構迫力もあるし、地質学に興味がある人ならば、きっと面白い所だろう。
たまたま、自身40年以上前に来たことのある場所なので、どのような変化をしているのかという興味があって寄ってみた。それなりに変化している実感はあり、このまま残って行けるのか不安がよぎる。
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