竜串は土佐清水市街から西へ11kmほどの所にある海の奇岩の景勝地だ。海底館・海洋館などの施設やグラスボートなどもあるが、何と言っても奇岩が海へと続く景観が最も見ごたえがある。奇岩を伝って浜を一周できる。また、見残し海岸も奇岩で有名だ。
どの海岸も四国の海岸線の荒々しい岩肌の景観とは違う。岩肌がなめらかで一風違っており、しかも様々な姿を見せてくれる。
竜串海岸~桜浜まで
竜串の東側の港から海に出て、海岸沿いに竜串海岸の奇岩群の中を歩くことができる。そのまま西側の桜浜まで遊歩道が続いている。帰りは舗装された遊歩道を通って戻れる。ゆっくり一周すると1時間ぐらいの時間がかかる。
竜串海岸は何と言っても竜の骨の化石のような長いなめらかな表面の岩が海に突き出した景観が有名だが、海そのものも美しく、東側に見える「見残し」のある千尋岬の森の緑が足元の岩越しに映える。
四国西側の海岸線は花こう岩で出来たところが多いが、ここは海の堆積物からできた砂岩ということだ。そのため波の浸食によって、柔らかい所が削られ、今のようなごつごつとした硬い部分だけが残っている。
陸側の堆積物の状態を見ることができる。侵食が進んでいない部分はなめらかできれいな岩肌をした砂岩だ。
陸側の山を見ると、今の海岸側の元の姿が想像できる。山肌の表面部分は既に風雨で浸食され硬い層だけが残っている。これが波などで浸食されて海岸側の景観が出来上がったことが分かる。
陸側に近い岩には無数の穴が開いている。満潮時にその先端部で受けた波によって浸食されたものだという。また、所々にくぼみに丸い褐色の石のようなものがある。鉄の塊を打ち込んだようにも見えるが、これは団痕というのだそうだ。昔の洪水で土が流れの底で丸まり、そのまま残ってしまったもので、鉄分を含んでいるために褐色をしているとのこと。
竜串の大竹・小竹という岩がある。竜串の代表的な場所で、竜の骨の串刺しとか、亀裂が竹の節に見えるとかいうことらしい。この節も地層のできる際の水圧などで切断された跡だという。それが地表に出て侵食され現れたのだそうだ。非常に変わった姿だが、青い海に吸い込まれるように続く景観は見事だ。
また、いたるところに謎のマークのようなものがある。生痕化石といって古代の生物の巣穴に砂が入って固まり化石として残っているのだそうだ。化石が表面に現れているのも面白い。
こんな地形だから、あちらこちらに潮だまりがある。中を覗くと生き物が動いている。しばし、童心に戻って楽しむのもいいものだ。
竜串の港側から行くと、その最終点に当たる所に奇妙な岩山がある。「不背山」と言うのだそうだ。由来が面白かったので、記しておく。この山をどの方向から見ても同じで、(どこも正面だから)背がないということだそうだ。
この先には、海中を展示している「海底館」がある。その途中にレスト竜串という施設があり、見残しへのグラスボートの出発場所がある(グラスボートの出発地は竜串港にもある)。
この海底館周辺のある海岸は「爪白海岸」といい、ここもまた奇岩のある場所ということだ。
不背山の脇を通り越すと、一変して白い砂浜が広がる。桜浜という場所で、穏やかな砂浜が広がっていて夏場は海水浴場になるそうだ。
ここで、竜串の散策は終わり、竜串の港へと戻る。
途中で、中国風の建築物があった。3階建ての見事な建物だが、廃墟のようになっている。興味本位で調べてみたら、「龍宮城」という名称で、昔の珊瑚博物館とあった。今は閉館している。
見残し
見残しは、弘法大師が見残した場所との由来が言われるが、竜串海岸に並ぶ奇岩の景勝地だ。
ここに行くには、竜串港とレスト竜串からグラスボートが出ている。当日は残念ながらグラスボートは運休していた。陸路を通って行くこともできるようだが、そのコースは後で知ったので、本当に見残してしまった。なお、陸路は千尋岬を車で途中まで行って、その先は四国のみちという散策路を歩いて行くようだが、距離は結構ありそうだ。
なお、参考にグラスボートの会社のホームページは以下。2つの会社があり、竜串の港と海底館側のレスト竜串の辺りから出ている。いずれも海中公園の海の上からの海中散歩と見残しの上陸・散策がセットになっているようだ。
竜串から写真は撮ったが、奇岩の様子は分からなかった。
まとめ
四国にあって、花こう岩などで出来た岸壁や岩礁が多い中で、砂岩による造形はめずらしい。浸食された岩の形やそこに残る波の痕や生物などの痕跡を間近に見ることができるのも楽しい。また、浸食がどのように進んで行ったかを推測できるこの地は地球の歴史を垣間見ることのできる点でも興味深い。
公共交通としては必ずしも便が良いとは言いにくいが、宿毛から足摺岬方面に向かうバスの途中にあり、頻繁ではないが観光を考慮した時間に動いており計画をしっかり立てればそんなに苦は無いと思う。もちろん車なら寄って損のない場所だと思う。
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