ポルトガル語文法:代名詞(人称代名詞)

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ブラジルポルトガル語:代名詞

代名詞  Pronomes

代名詞とは名詞の一種で、会話や文章の中ですでに出てきたものを再び表現するときに使う名詞のことで、人を指す「人称代名詞」、物を指す「指示代名詞」、不特定の人や物を指す「不定代名詞」などがある。

人称代名詞 Pronomes Pessoais

人を指す代名詞で、私・あなた・彼などと言う場合に用いられる。これには、主語となる「主格」、所有者を示す「所有格」、行動の対象となる「目的格」に分けられる。

主格 Nominativos

主語となる代名詞で下表の様に分けられる。なお、本来「あなた」「あなたたち」は二人称だが、ブラジルでは二人称を用いないで「você」「vocês」を用いる。この単語は三人称として扱われるので、ここでは三人称として分類した。また、私たちは 「a gente」と言うことが出来、これは複数の人を指すが、動詞は三人称単数を用いる。

主格人称代名詞(人称と単数・複数は使用する動詞で分類)
人称 日本語 単数 複数
一人称 私、私たち eu nós
三人称 あなた、あなたたち você vocês
 〃   〃 (男性) o senhor os senhores
 〃   〃 (女性) a senhora as senhoras
 〃 彼、彼ら ele eles
 〃 彼女、彼女ら ela elas
 〃 私たち a gente  -
主格代名詞の例文

Eu sou do Japão. (私は日本から来ました)
Nós somos Japoneses. (私たちは日本人です)
A gente fala Porutugês. (私たちはポルトガル語を話します)
Você é do Japão? (あなたは日本から来たのですか?)
O senhor é médico? (あなたは医者ですか?)
A senhora é médica? (あなたは医者ですか?)
Vocês têm licenças? (あなたたちは許可をもらってますか?)
Ele é professor. (彼は教師です)
Ela é professora. (彼女は教師です)
Eles são engenheiros. (彼らは技術者です)
Elas são secretárias. (彼女たちは秘書です)

※主語が男性の場合は対応する名詞は男性名詞を、女性の場合は女性名詞をつかう。ただし、複数で両方いる場合の主格は男性形の代名詞を使い、女性だけの場合は女性形を使う。また、主語が複数の場合は対応する名詞も複数となる。

所有格 Possessivo

所有格は「私の~」「あなたの~」など、修飾される名詞が対象者に帰属することを意味し、所有形容詞という扱いになる。
なお、これらは修飾する名詞によって、人称ごとに男性・女性、単数・複数と分けて使う。

所有代名詞
主格 日本語 単数・男性 単数・女性 複数・男性 複数・女性
eu 私の meu minha meus minhas
nós 私たちの nosso nossa nossos nossas
você(s)
o(s) senhor(es)
a(s) senhora(s)
ele(s) / ela(s)
あなた(たち)の
彼(彼女)(ら)の
seu sua seus suas

上表の主格の欄は、所有格に対応する主格の代名詞を示すためで、主語と所有格が一致するという意味ではない。所有格はあくまでも修飾する名詞が誰のものであるかによって決める。

所有格代名詞の例文

Meu carro é novo. (私の車は新しい)
Minha casa é nova. (私の家は新しい)
Meus amigos moram no Brasil. (私の友人たちはブラジルに住んでいます)
Minhas amigas moram no Brasil. (私の女友達たちはブラジルに住んでいます)
Nossos filhos não estão aqui. (私たちの息子たちはここにいません)
Nossa filha não está aqui. (私たちの娘はここにいません)
Eu gosto do meu cachorro. (私は自分の犬が好きだ)
Eu gosto do seu cachorro. (私はあなたの犬が好きだ)
Como é seu nome? (あなたの名前は何ですか?)
Ela é sua irmã? (彼女はあなたの妹さんですか?)
Eles são seus irmãos? (彼らはあなたの兄弟たちですか?)

所有形

所有格代名詞では、seu(s), sua(s)は彼(ら)、彼女(ら)にも持ちいるが、「あなた」なのか「彼」なのか紛らわしいこともあり、実際には de ele 「彼の」のように具体的に指し示すことが多く、この場合、短縮形でdele となり、所有の対象物の後に置かれる。

de+(ele, ela, eles, elas)

日本語 所有形
彼の dele
彼女の dela
彼らの deles
彼女らの delas

なお、この場合所有の対象物には定冠詞が付く(o, a, os, as)。
所有格と違うのは彼、彼女等所有者そのものの代名詞を使い、対象物の性や単・複によって変わることはない。
これらdele等は人だけでなく所有者(帰属するもののが)物の場合にも使われる。この場合は物が男性形であればdele, delesが、女性形であればdela, delasが使われる。

所有形の例文
所有者が人の場合

O apartament dele é confortável. (彼のアパートは快適だ)
Não gosto da cidade dela. (私は彼女の町が好きではない)
O pai deles é alemão. (彼らの父はドイツ人だ)
A mãe delas não está aqui. (彼女たちの母はここにいない)
Os irmãos dela trabalham aqui. (彼女の兄弟たちはここで働いている)

所有者が物の場合

Vou comprar a casa. O preço dela é bom. (その家を買おう。値段がいいので)
Vou preparar um jantar especial. Quero mostrar o cardápio dele. (特別な夕食を用意します。そのメニューを見せてあげたい)
Não quero estas cadeiras. A qualidade delas não é boa. (その椅子は欲しくない。その品質が良くないので)
Estas quartos são muito claros. As janelas deles são grandes. (これらの部屋はとても明るい。それら(部屋)の窓が大きいので)

目的格 Objetivo

目的語になる代名詞で、動詞や前置詞に付き「彼を」「彼に」などと訳される。
ポルトガル語の場合、動詞に付くものを直接目的語、前置詞に付くものを間接目的語と分類する。
例えば、Eu comprei o livro. (私は本を買いました)と言えば、「o livro」が直接目的語、Eu amo Luiza. (私はルイザを愛しています)と言えば「Luiza」が直接目的語になる。
一方、目的語がふたつある場合、例えば「彼に本を買ってあげた」のような場合、
英語なら I bought him a book. のように並べて言う場合と、I bought a book for him. のように前置詞を使う場合がある。
ポルトガル語の場合は目的語に代名詞を使わない場合は、必ず、Eu comprei o livro para Pedro. のように、買うものである「本」を直接目的語とし、買ったものを与えられる「ペドロ」を間接目的語として、間接目的語の前には前置詞が付く形となる。
これを目的語を代名詞とする場合には、Eu comprei o livro para ele. と言うことも出来るが、
Eu lhe comprei o libro. と言うことも出来る。すなわち「前置詞+代名詞」を間接代名詞ひとつで言うことができるというわけだ。
英語的に言えば、目的語に代名詞を使わない場合は、SVO₁ for O₂ という形に、代名詞を使う場合はSVO₂O₁形(実際には代名詞を動詞の前に置くのでSO₂VO₁)も使うことが出来ると考えると理解しやすいかもしれない。(O₁が直接目的語、O₂が間接目的語)

目的語となる代名詞

主格 日本語 直接
目的語
間接
目的語
com以外の
前置詞に付く
目的語
前置詞comに付く
目的語の場合
(mim, nóが縮合)
eu 私に(を) me me mim comigo
nós 私たちに(を) nos nos nós conosco
você(男), ele あなた・彼に(を) o lhe você, ele com você,
com ele
você(女), ela あなた・彼女に(を) a lhe você, ela com você,
com ela
vocês(男), eles あなた・彼たちに(を) os lhes vocês, eles com vocês,
com eles
vocês(女), elas あなた・彼女たちに(を) as lhes vocês, elas com vocês,
com elas

※você(s)の直接代名詞は相手が男性なら o(s)、女性なら a(s) と区別する。
※comに mim と nos が付く場合のみ縮合形となる。
※o(s), a(s)は人だけではなく、物などについても使える。このときその対象の名詞の性によってo(s), a(s)を区別する。

直接目的語になる代名詞の例文①(代名詞を動詞の前に置く場合)

Ele nunca me viu na rua. (彼は私にその道で見かけたことがない)
Vocês sempre me ajudam. (あなたたちはいつも私を手伝ってくれる)
Quem vai me ajudar? (だれが私を手伝ってくれるの?)
Pedro está me esperando. (ペドロが私を待ってくれている)
Pedro me esperou muito tempo. (ペドロは長い時間待っていた)

Ele nunca nos ajudou. (彼は私たちを一度も手伝ってくれたことがない)
Nossos amigos nos convidaram para uma festa. (私たちの友達たちが私たちをパーティに招待してくれた)
Por que vocês não nos avisaram? (どうしてあなたたちは私たちに知らせてくれなかったの?)

【男女の区別が必要な場合】

Eu vi o ladrão. (私は泥棒を見た) → Eu o vi.
Eu vi Lúcia. (私はルシアを見た) → Eu a vi.
Eu vi os rapazes. (私は青年たちを見た) → Eu os vi.
Eu ajudei Lúcia no trabalho. (私はルシアを仕事で手伝った) → Eu a ajudei no trabalho.
Ele não fechou as janelas. (彼は窓を閉めなかった) → Ele não as fechou.
Ela prepara o jantar em 10 minutos. (彼女は10分で夕食を準備する)→ Ela o prepara em 10 minutos.
Nós vimos os animais no circo. (私たちはサーカスで動物たちを見た) → Nós os vimos no cicro.
Eles compraram a casa ontem. (彼らは昨日家を買いました) → Eles a comparam ontem.

直接目的語となる代名詞の例文②(目的語を動詞の後に置く場合)

ブラジルでは会話では動詞の後に目的語となる代名詞を置くことはあまりないが、書き言葉などで、後に置く場合にはハイホンを付けてつなぐ。
このとき、o(s), a(s)の場合だけ動詞の語尾によって、-lo(s), -la(s), -no(s), -na(s)のように変化する。

① -lo(s), -la(s)となるのは、動詞の語尾が  r,  s,  z で終わるときに起こる。
このとき動詞の最後の r, s, z  取って、-lo(s), -la(s) を付けるが、動詞の最後が a とe の場合、
→ á、e → ê と変化する。(その他は変化しない)
falar → falá-lo(s), -la(s)
beber → bebê-lo(s), -la(s)
faz → fá-lo(s), -la(s)

(例文)  左に動詞の前に置く場合 → 右に動詞の後に置く場合 で示す。

Eu pude o ver. → Eu pude vê-lo. (私は彼に会うことができた)
Quero a conhecer. → Quero conhecê-la. (私は彼女と会ってみたいです)
Nós as bebemos. → Nós bebemo-las. (私たちはそれらを飲んだ)
Ele o faz. → Ele fá-lo. (彼はそれをする)

② -no(s), -na(s)となるのは、動詞の最後が am,  em,  ão で終わるときに起こる。
このときは、特に省く語はなく、-no(s), -na(s) を付ける。

(例文)  左に動詞の前に置く場合 → 右に動詞の後に置く場合 で示す。

Vocês as ajudam. → Vocês ajudam-nas. (あなたたちは彼女たちを手助けする)
Os alunos o abrem. → Os alunos abrem-no. (生徒たちはそれを開けた)
Eles a comerão → Eles comerão-na. (彼らはそれを食べるだろう)

③特別な変化なく代名詞を後に付ける場合(参考例)

Ele nunca me viu na rua. → Ele nunca viu-me na rua. (彼は私を道で全く見かけなかった)
Ele nunca nos viu na rua. → Ele nunca viu-nos na rua. (彼は私たちを道で全く見かけなかった)
Vocês nunca podem me ajudar. → Vocês nunca podem ajudar-me. (あなたは私をいつも手伝えない)
Ela está me esperando. → Ela está esperando-me. (彼女は私を待ってくれている)

Eu o vi. → Eu vi-o. (私は彼を見た)
Eu a vejo mais tarde. → Eu vejo-a mais targe. (私は彼女と後で会う)
Nós os vimos no circo. → Nós vimos-os no circo. (私たちはサーカスでそれらを見た)
Ele as recebeu antes do almoço. → Ele recebeu-as antes do almoço. (彼は昼食前にそれらを受け取った)

間接目的語となる代名詞を含む例文

ポルトガル語では間接目的語とは前置詞に付く目的語をいう。すなわち、「だれだれに」のような表現となる「前置詞(a,  para など)+人 」の場合に、これをひとつの代名詞で表現するには、一人称は単数(eu)→me、複数(nós)→nos、三人称は単数(você、ele、ela)→lhe、複数(vocês、eles、elas)→lhesを使用する。

左に前置詞を伴う場合 → 右に間接目的語となる代名詞を使った場合 で示す。

Vou dar uma foto para você → Vou lhe dar uma foto. (あなたに写真をあげます)
Vou telefonar para ele. → Vou lhe telefonar. (彼に電話します)
Vocês não responderam a carta que eu escrevi para vocês. → Vocês não responderam a carta que eu lhes escrevi. (あなたたちは私が書いた手紙に返事をしなかった)
Você pode explicar o problema para mim? → Você pode me explicar o problema? (私にその問題を説明してくれませんか?)
Não fomos à festa porque vocês não disseram a data para nós. → Não fomos à festa porque vocês não nos disseram a data. (私たちはあなたたちが日にちを言わなかったのでパーティに行かなかった)

前置詞を伴う間接目的語になる代名詞の例

comという前置詞以外は前置詞の目的語となる代名詞は、一人称は単数(eu)→mim、複数(nós)はそのまま→ nós、三人称は単数(você、ele、ela)はそのまま→você、ele、ela 、複数(vocês、eles、elas)はそのまま→ vocês、eles、elas を使用する。

comの場合のみ,前置詞と一緒になって一人称は単数(eu)→ comigo、複数(nós)は→ conosco となるが、三人称 você、ele、ela 、vocês、eles、elas はそのまま使う。

Ele deu o livro para mim. (彼は私にその本をくれた)
Ele gosta de mim. (彼は私のことが好きだ)
Ele só pensa em ela. (彼は彼女のことだけを考えている)
Ele faz tudo por vocês. (彼はあなたたちのために何でもする)
Ele não vai là sem nós. (彼は私たちなしにはそこへは行かない)

Ele vai trabalhar comigo. (彼は私と一緒に仕事をするつもりだ)
Ele vai ficar conosco. (彼は私たちと一緒にいるつもりだ)
Ele não quer falar comigo. (彼は私と話したくない)
Ele não quer falar com você(ele/ ela/ vocês/eles/ elas). (彼はあなたと話したくない)

再帰代名詞 Reflexivo recíproco

英語でいうところの「oneself」に相当し、自分自身にという目的語になる。再帰代名詞と動詞が一緒になって再帰動詞としてひとつの意味を持つ場合での使用が多いが、本来の再帰の意味で用いられる場合もあるので、簡単に紹介と例を示しておく。
なお再帰動詞については右をクリックし参照願いたい。→ 再帰動詞

再帰代名詞の変化
主格 日本語 直接
目的語
間接
目的語
com以外の前置詞に付く目的語 前置詞comにつく目的語の縮合形
eu 私自身に(を) me me mim comigo
nós 私たち自身に(を) nos nos nós conosco
você(s), ele(s), ela(s) 三人称全て se se si consigo

私自身と私たち自身と一人称の場合は他の代名詞と同じ形になるが、再帰代名詞であるかどうかは、主語と目的語が同じ人を指していることで分かる。
再帰代名詞も直接・間接目的語の場合は動詞の前に置くのが普通。

再帰代名詞の例文

Eu me feri com aquela faca. (私はあのナイフで自分を傷つけた→けがをした)
Nós nos perguntamos. (我々は自分自身に問いかけた)
Ele se olha no espelho. (彼は自分を鏡でみている)
Eles se consideram bonitos. (彼女らは自分自身を美しいと思っている)
Você se despreza. (あなたは自分を卑下している)
Como você se chama? (あなたは自分を何と呼びますか?→お名前は?)

Eu gosto de mim. (私は自分が好きだ)
Nós estudamos a nós (私たちは自分で勉強した)
Ele voltou a si. (彼は我に返った)
Eles têm confiança em si. (彼らは自分に自信を持っている)

Eu não tenho dinheiro comigo. (私はお金の持ち合わせがありません)
Nós somos gentis conosco. (私たちは自分達にはやさしい)
Ele levou uma guarda-chuva consigo. (彼は傘を持って行った)
Você disse comigo. (君は独り言を言っていた)

コメント

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